議事録

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2024年9月11日

第3回
中小企業DX研究会

日時: 2024年9月11日(水)15:00-17:00(終了後懇親会)
場所: 法政大学新見附校舎9階サロン1
参加者: 25名

アジェンダ

1. 電化皮膜工業におけるDXの取組み(奮闘記)
昭和時代に量産体制で業績を上げていた電化皮膜工業は、海外シフトの影響で業績悪化に直面。多品種少量生産への転換や航空宇宙の認証取得による高付加価値事業へと転進を図りました。同社は顧客数・品種・バリエーションが多いことが特徴です。

2013年に西岡教授と出会い、DX改革を開始しました。コロナ禍の影響もあり、残業は大幅に減少。改革の導入手順としては、①見積もり、②指示書、③出荷管理、④途中の工程管理と、効果が見込まれる部分から着手しました。現場から多くの要望が上がりましたが、全体を見据えて整理し、進めています。

また、ラッキングのデジタル化にも取り組み、作業の効率化を実現。現場の作業状況に応じて納期調整ができるようになり、技術情報のデジタル化も進行中です。セキュリティにも配慮し、誰がどのアプリをいつ使ったかを全て把握し、抑止力として機能しています。

  • 適切な場所に早めにアプリを導入し、時間をかけて相乗効果を得ることが重要。
  • デジタル化で生み出した時間を、アナログ業務にも有効活用する。
  • デジタル人材の育成については、外部委託、自社育成、シェアリングの選択肢を検討中。

2. 経営者として「中小製造業のデジタル化」を総括する

DX推進において、中小企業の課題と向き合いながら、特に①デジタル化の対応、②DXが進まない理由、③どこから手をつけるべきかが議論されました。今野製作所では、業務プロセスのIT化やデジタル製造技術(3D CAD、3Dプリンタ、生成AIなど)、IoTやAIによる遠隔監視、分析・予測技術を導入しています。

しかし、こうした技術はまだ効果的に結びついておらず、抽象化やモデル化の必要性が指摘されました。将来に向けた目標を見据え、経営形態や生産形態、受注プロセスなどのモデル化を進めていく考えです。西岡教授の「情報の7つの無駄」を念頭に、情報共有の効率化を目指しています。

  • 各企業ごとに異なる状況に応じたDX推進が必要であり、共通の枠組みを持って取り組むべき。
  • 初期には効率が低下する「死の谷」が存在することを理解し、長期的な視点で改善を進めることが重要。


3. 質疑・コメント・ディスカッション

  • 新しい仕事の創出にITを活用しているか?
    → SEOを導入し、毎月2〜3社の新規取引先を開拓している。
  • デジタル化による見積もりや価格設定の活用について
    → 完全な数値化は難しいが、交渉の中で独自性が認識されると、強気な価格設定ができる。
  • 長期にわたる取り組みについての意見
    → フォローアップ担当者が現場に入り、利用率向上に貢献した事例が挙げられた。
  • デジタル化の効果測定について
    → 効果を上司に報告することで、モチベーション向上に役立っている。
  • デジタル化による管理部門の効率向上について
    → データの蓄積が進み、新人が迅速に業務に慣れる効果が見られる。
  • デジタル担当者の決定権の問題について
    → 経営者とは異なり、担当者には稟議の提出や短期間での成果を求められることが課題である


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